秋は「眠り」と「夢」に意識を向けてみよう
少しずつ、初秋を過ぎて空の色が変わり始めました。
秋と言えば・・・
みなさんは何を思い浮かべますか?
テーマがたくさんあり過ぎて、なかなか選べないかたも多いかもしれません。
夏が過ぎ去り秋になると、空気の匂いが変わります。
秋の訪れは朝晩の気温と、陽射しの柔らかさから感じることが多いかもしれません。
先日ショッピングモールで、ハウスリビングのフロアーを通りかかった時に、こんな広告を見かけました。
「眠りの質は人生の質!秋こそぐっすり眠りましょう」
そこには気持ち良さそうな肌ざわりの羽毛布団がありました。
秋が眠りに適するのは、いくつかの理由があります。
*肌寒くなるので、布団の中が心地よい
*睡眠に快適な気温
*食欲が増すと眠気も増す
*活動しやすい秋は、ほどよく体も疲れるので、ぐっすり眠れる
など、秋は眠気を増進させる季節のようですが、厚生労働省の2015年度の調査では1日の睡眠時間が6時間未満という人の割合は39.5%だとか。
アメリカ人の平均睡眠時間の8.8時間に比べると、日本人の睡眠時間は少ない傾向にあるようです。
☆眠れていますか?
最近、「睡眠負債」という言葉をよく聞きます。
睡眠負債とはスタンフォード大学の研究者によって提唱された言葉で、日々の睡眠不足が借金のように積み重なる、という考えかたで、睡眠の負債(Sleep debt)を直訳したものです。
この睡眠負債を抱えてしまうと、心身の健康を損ねるため、慢性的な睡眠不足に注意を向ける必要がある、という認識が広まっています。
日本のことわざにも
「寝る子は育つ」(よく眠る子どもは丈夫に育つ)
「果報は寝てまて」(よい知らせは焦らずに待つほうがよい)
このように、眠りが使われています。
たしかに、睡眠不足は万病の元とも言われ、良いことはありません。
なぜ、人は睡眠不足に陥ってしまうのでしょうか?
眠れない原因は人それぞれだと思いますが、私の仕事であるカウンセリングの経験では眠れない人の多くは、夜眠る前にあれこれと考え込んでしまう真面目な人だと感じます。
ちゃんと答えを見つけてから眠りたい、答えが見つからないまま放置することはしたくない、などとても真剣に悩みを捉えている傾向にあります。
その日に起こった出来事の中に気になることがあると、そこに意識が集中してしまい、リラックスができなくなります。
たとえば
「今日会社で◯◯さんが私に△△と言ったのはなぜだろう?どうしてあの人は・・・」
このような疑問は、明らかな答えが出ない自問自答です。
人の心を覗くことはできないので、明確な答えは見つかりません。
翌日、○○さんに意図を尋ねて理由を聞いたとしても、
再び「ほんとうにそうなのかな?」と悩み始めます。
ですから、眠る前に悩み始めてしまうとなかなか眠りが訪れてくれません。
考えても答えが出ないことは考えない、考えて答えが見つかることは考える。
あれこれ悩んでしまう人には、このように区別してみることをお薦めしています。
そして、私たちに答えが見つかるのは「自分自身のこと」だけです。
もしあなたがコーヒーが好きだとしたら、その理由は自分ではなんとなく理解できているでしょう。
ですが、他人がコーヒーが好きな理由や嫌いな理由の「答え」は特定ができません。理由はひとつではなく、流動的だからです。
ですから、完璧な答えは見つからないのです。
☆最近夢を見ましたか?
私たちはときどき、睡眠中に夢を見ることがあります。夢には無意識にあるものが現れると、心理学者のユング(1875〜1961)は唱えました。夢占い、夢分析など、見た夢からその人が無意識に何を抱えているかがわかる、というものです。一例をあげてみます。
【体が落ちていく夢】現在の立場(地位)を失う恐れ
【遅刻をする夢】大切なチャンスを逃してしまうかもしれない不安
【空を飛ぶ夢】現実にある制限からの解放を望んでいる
このように夢を分析するものです。
私は何度か空を飛ぶ夢を見ていますが、その時の環境の責任や重圧がプレッシャーなのだなぁ、と感じました。三つ子を出産した当時は、繰り返し空を飛ぶ夢を見ていました。
また、眠っている間に人は多数の夢を見ているそうですが、目覚めた時には1パーセント程度しか記憶していないそうです。
夢を覚えているとしたら、目覚める直前に見た夢だったり、内容が印象的な場面だったりします。
☆夢はありますか?
夢はつながりでもうひとつ。夢は眠っているとき以外でも見ることがあります。
希望、願い、目標、目的など。
「大人になって夢を持たなくなったな・・・」
こんなつぶやきをツイッターで見かけました。
子供の頃には「◯◯になりたいなぁ!」と願い、夢に描いた生きかたを、大人になるとだんだん忘れてしまいます。
以前、主婦のかたがたの集まりに仕事でお邪魔する機会がありました。子供の頃の夢は叶った?と話題が持ち上がったときに、そもそも子供時代に夢を描いたことはなかったと思う、と答えた人が多かったです。
「普通に結婚をして子供を産みました。ですが、夢が結婚と出産だったか?と言えば、それは切に願っていたもの…という訳でもなかった気がします。
結婚して、子どもを産むことは当たり前の普通なことだったと。」
その中の一人のかたが、こんな風に語ってくださいました。
この記事を読んでくださっているあなたには、いま夢はありますか?
☆夢を持つことは元気に生きること
また、「童(子ども)の心」と書いて「憧れ」と読みます。
子どもの頃には夢を描いても、その夢がいつしか憧れで終わってしまうので、ぼんやりと心に浮かんでいた程度の儚いものだったのかもしれません。
これも「人の夢」と書いて「儚い」と読みます。
夢を持つこと、というテーマを考えたときに、私が思い起こすひとつのブログの記事があります。
それは、今年の6月に亡くなられた元フリーアナウンサー、小林麻央さんのブログの中の一文です。
2017年3月26日の記事で、麻央さんは夢についてつぎのように書かれていました。
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夢はなんですか?と尋ねられ、健康に戻ること、と答えたら、その次には
健康が戻ったら何がしたいですか?とさらに尋ねられ、明確に答えられなかった。
夢を明確に答えることができる人は元気になっていくらしい。
自分には、やりたいこととやらなければいけないことが混同してしまっている。
家族のため、生活のための夢ではなく、自分自身の夢を持つことは心に置き続けている課題。
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※小林麻央さんのブログの言葉を引用させていただきました。
読んでいて私が印象深かったのは、
「自分には、やりたいこととやらなければいけないことが混同してしまっている。」
この一文です。
やりたいこと(欲求)
やらなければならないこと(思考)
欲求と思考が混同する場合は、誰かからの、周囲からの期待に意識が向いている状況だと思われます。
最後まで家族や周りに気を配っていた麻央さんらしさの現れだと思いました。
さて、あなたが本当に、心から望むことは、なんでしょう?
あなたの夢はいつ、どこで、誰と、何をすること?その時に、どんな気分を感じるでしょうか。
今夜、ぐっすりと眠ることが出来たら、夢の中に答えが見つかるかもしれません。
眠ることで体と脳はリラックスします。
秋はぜひ、眠りと夢に意識を向けてみてください。