~リトミックに学ぶ音楽のチカラ~
Vol.2『楽しみながら吸収する』
リトミック講師:佐藤真衣
リトミックは何歳から何歳まで?
「リトミックは何歳から何歳までが、適齢ですか?」という質問をいただくことがあります。
私は、0歳児さんから5歳児さんの未就学児、他に保育士を目指す高校生と一緒にリトミックをさせていただいています。ピアノを習う小中学生の生徒さんにもリトミックを応用した方法でリズムやニュアンスなどのソルフェージュのレッスンをしています。
「では、リトミックは子どものための教育なのですね?」と言われますが、リトミックそのものの考え方は、大人にも応用ができます。
大人が大人のためのリトミックを体験すると、「普段使っていない部分の脳を使っているってわかる!まさに脳トレだわ!」と、みなさん仰います。
実際、リトミックの経験を重ねてきた5歳児さんのクラスの内容はかなり高度で、クラスの先生や保護者の方が超本気で向き合わないと課題をクリアできない(=大人にも高度である)という場面はよくあります。
私自身はリトミックの勉強を大人になってから始めたので、幼い頃からリトミックをしてきたクラスメイトには劣るばかり。卒業まで苦労した方だと思っているのですが、授業で新しい課題に出会った日は、脳が興奮状態になることが何度もありました。
これは、あくまで私の個人的な体験ですが、リトミックは子どもだけでなく大人の脳にも刺激を与えるのだなぁ、まさに脳トレだと思いました。
リトミックにはいろいろなサブジェクトがありますが、この学びの順序こそがリトミックの手法です。まず心と身体で体験すること、つまり脳と筋肉で感じることが大事です。
文章や図、楽譜などの情報は体験した後のほうが効果的で、体験した後にそれらの情報が入ることで、うわべだけの知識ではなく、体験的なものとなります。
なぜなら、リズムに伴う時間や、それを表現するための空間、空間を感じるためのエネルギーを脳と筋肉が体験しているため、記憶の定着がしやすいのです。人によっては筋肉に記憶をされると言う方もいるくらいです。
私のリトミックのクラスでは、年齢に応じてではありますが、言葉の説明は必要最低限にし、ピアノの音色を聴くよう促していきます。
音に気がつく子、音に気がついている子に気がつく子、まったく気がつかない子、いろんな子どもがいますが、それでいいのです、いやそれがいいのです。
レッスンのクラスが段々とひとつの音楽を共通認識として、気持ちがひとつになっていく……その快感は、体験した人にしかわからない体験となるでしょう。
友だちと、他人と同じ時間を共有する、これが音楽にこそできる力なのですよね。
先ほど、リトミックは大人にも高度であると書きましたが、子どもたちはそのような高度なこと、習得する前に飽きてしまわないの?と疑問に思われるかもしれません。
そこが音楽の力です。どんなことでも習得に繰り返しは必須ですが、繰り返しを重ねていくための素敵な音楽があると、繰り返しが苦でなくなるのです。
例えばジャンプ。子どもは本当にジャンプが好きです。歩けるようになった頃ジャンプを覚え、子どもによっては楽しいと感じると、所構わずぴょんぴょんぴょんぴょん。
そんなにぴょんぴょんして疲れないのかな?と思ってしまうくらい、ぴょんぴょんする子もいるのです。ちょっとした段差を見つけると、ぴょんって跳びます。
リトミックでは、ジャンプはとても大事な体験とされています。
大きくジャンプ、小さくジャンプ、前にジャンプ、後ろにジャンプ、横に……と、組み合わせていくといろんなジャンプがあります。
ジャンプをするときの、体が浮く直前の準備のことを「アナクルーシス」と呼んで、リトミックではその呼吸や筋肉の動きを大切なことの1つとしています。
そんな大切なことの習得、言葉の誘導だけでは限界がありますよね?「では、まずお膝を曲げてください。息を吐き切ってから大きく吸って、前を見て膝を勢いよく伸ばします、そのときに体の重心を〜〜」と言葉で説明してもわかるわからない以前に、飽きてしまいますよね。
でも、そのニュアンスにあった音楽があれば、説明は最小限で済むのです。
まねっこ、模倣が大好きな1〜3歳なら、カエルのジャンプ、うさぎのジャンプ、イルカのジャンプを音楽にのせて促すと、びっくりするくらい素敵なジャンプを見せてくれます。(個人的には子どもの表現するイルカのジャンプがとっても好きです!)
では、歩けない0歳〜1歳はジャンプは体験できない?いえいえ、リトミックでは歩けない子も、ジャンプしようとするのです。アナクルーシスをしっかり感じているのです!!
リトミックで、楽しく知らない間にいつの間にかジャンプができるようになっていきます。
ジャンプが飛びたい!と思って音を聴くので、聴く力も身についていきます。
楽しみながら吸収するために、音楽の力は偉大です。お子さんにリトミックを提供するときは、より素敵な音楽を選んであげたいですね。
3歳よりピアノを始める。大阪芸術大学にて作曲を学ぶ。リトミック研究センターディプロマA取得。保育園幼稚園にてリトミック指導、派遣業務を行なう。ここわ保育園リトミック講師リーダー。ピノキオ幼児舎でのラーニングプログラム講師、及びミュージックフェスタの総合プロデューサーを務める。児童養護施設そらいろ、リトミック講師。都立晴海総合高校、足立新田高校、王子総合高校非常勤講師。保育士を目指す高校生に、リトミックと保育現場について考える授業を行う。ピノキオハウス音楽クラブ講師(学童にて小学生リトミック)。ニューミック音楽教室ピアノ講師(現在、5~82歳の25名の指導にあたる)。リトミックサークルにゅーみっく主宰。ニューミック音楽教室主宰。
関連記事ページはこちら >>>
~リトミックに学ぶ音楽のチカラ~ Vol.1『心で聴き、感じる』
「リトミックは何歳から何歳までが、適齢ですか?」という質問をいただくことがあります。
私は、0歳児さんから5歳児さんの未就学児、他に保育士を目指す高校生と一緒にリトミックをさせていただいています。ピアノを習う小中学生の生徒さんにもリトミックを応用した方法でリズムやニュアンスなどのソルフェージュのレッスンをしています。
「では、リトミックは子どものための教育なのですね?」と言われますが、リトミックそのものの考え方は、大人にも応用ができます。
大人が大人のためのリトミックを体験すると、「普段使っていない部分の脳を使っているってわかる!まさに脳トレだわ!」と、みなさん仰います。
実際、リトミックの経験を重ねてきた5歳児さんのクラスの内容はかなり高度で、クラスの先生や保護者の方が超本気で向き合わないと課題をクリアできない(=大人にも高度である)という場面はよくあります。
私自身はリトミックの勉強を大人になってから始めたので、幼い頃からリトミックをしてきたクラスメイトには劣るばかり。卒業まで苦労した方だと思っているのですが、授業で新しい課題に出会った日は、脳が興奮状態になることが何度もありました。
これは、あくまで私の個人的な体験ですが、リトミックは子どもだけでなく大人の脳にも刺激を与えるのだなぁ、まさに脳トレだと思いました。
まずは体験すること
リトミックにはいろいろなサブジェクトがありますが、この学びの順序こそがリトミックの手法です。まず心と身体で体験すること、つまり脳と筋肉で感じることが大事です。
文章や図、楽譜などの情報は体験した後のほうが効果的で、体験した後にそれらの情報が入ることで、うわべだけの知識ではなく、体験的なものとなります。
なぜなら、リズムに伴う時間や、それを表現するための空間、空間を感じるためのエネルギーを脳と筋肉が体験しているため、記憶の定着がしやすいのです。人によっては筋肉に記憶をされると言う方もいるくらいです。
私のリトミックのクラスでは、年齢に応じてではありますが、言葉の説明は必要最低限にし、ピアノの音色を聴くよう促していきます。
音に気がつく子、音に気がついている子に気がつく子、まったく気がつかない子、いろんな子どもがいますが、それでいいのです、いやそれがいいのです。
レッスンのクラスが段々とひとつの音楽を共通認識として、気持ちがひとつになっていく……その快感は、体験した人にしかわからない体験となるでしょう。
友だちと、他人と同じ時間を共有する、これが音楽にこそできる力なのですよね。
ジャンプ! ジャンプ!! ジャンプ!!!
先ほど、リトミックは大人にも高度であると書きましたが、子どもたちはそのような高度なこと、習得する前に飽きてしまわないの?と疑問に思われるかもしれません。
そこが音楽の力です。どんなことでも習得に繰り返しは必須ですが、繰り返しを重ねていくための素敵な音楽があると、繰り返しが苦でなくなるのです。
例えばジャンプ。子どもは本当にジャンプが好きです。歩けるようになった頃ジャンプを覚え、子どもによっては楽しいと感じると、所構わずぴょんぴょんぴょんぴょん。
そんなにぴょんぴょんして疲れないのかな?と思ってしまうくらい、ぴょんぴょんする子もいるのです。ちょっとした段差を見つけると、ぴょんって跳びます。
リトミックでは、ジャンプはとても大事な体験とされています。
大きくジャンプ、小さくジャンプ、前にジャンプ、後ろにジャンプ、横に……と、組み合わせていくといろんなジャンプがあります。
ジャンプをするときの、体が浮く直前の準備のことを「アナクルーシス」と呼んで、リトミックではその呼吸や筋肉の動きを大切なことの1つとしています。
そんな大切なことの習得、言葉の誘導だけでは限界がありますよね?「では、まずお膝を曲げてください。息を吐き切ってから大きく吸って、前を見て膝を勢いよく伸ばします、そのときに体の重心を〜〜」と言葉で説明してもわかるわからない以前に、飽きてしまいますよね。
でも、そのニュアンスにあった音楽があれば、説明は最小限で済むのです。
まねっこ、模倣が大好きな1〜3歳なら、カエルのジャンプ、うさぎのジャンプ、イルカのジャンプを音楽にのせて促すと、びっくりするくらい素敵なジャンプを見せてくれます。(個人的には子どもの表現するイルカのジャンプがとっても好きです!)
では、歩けない0歳〜1歳はジャンプは体験できない?いえいえ、リトミックでは歩けない子も、ジャンプしようとするのです。アナクルーシスをしっかり感じているのです!!
リトミックで、楽しく知らない間にいつの間にかジャンプができるようになっていきます。
ジャンプが飛びたい!と思って音を聴くので、聴く力も身についていきます。
楽しみながら吸収するために、音楽の力は偉大です。お子さんにリトミックを提供するときは、より素敵な音楽を選んであげたいですね。
Profile
佐藤真衣(さとう・まい)3歳よりピアノを始める。大阪芸術大学にて作曲を学ぶ。リトミック研究センターディプロマA取得。保育園幼稚園にてリトミック指導、派遣業務を行なう。ここわ保育園リトミック講師リーダー。ピノキオ幼児舎でのラーニングプログラム講師、及びミュージックフェスタの総合プロデューサーを務める。児童養護施設そらいろ、リトミック講師。都立晴海総合高校、足立新田高校、王子総合高校非常勤講師。保育士を目指す高校生に、リトミックと保育現場について考える授業を行う。ピノキオハウス音楽クラブ講師(学童にて小学生リトミック)。ニューミック音楽教室ピアノ講師(現在、5~82歳の25名の指導にあたる)。リトミックサークルにゅーみっく主宰。ニューミック音楽教室主宰。
関連記事ページはこちら >>>
~リトミックに学ぶ音楽のチカラ~ Vol.1『心で聴き、感じる』