すべての女性に、
恋は「遠い日の花火」ではありません

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夏は手を繋いで歩いている若いカップルをよく見かける季節です。
冬よりも夏のほうが腕が露出しているので、人の手のアクションがはっきりと見て取れるのが夏の繁華街。
だから、手を繋いでいるところが印象に残るのかもしれません。

特にカフェがたくさんある街は、若いカップルを見かけます。
道行く男女が手を繋いでいるところを見かけると、微笑ましい気持ちを感じます。
夏は長期休暇もあるので、たくさんの個人的なドラマが生まれます。
恋愛もそのひとつ。

今日、浴衣を着たカップルを駅で見かけました。
港の方面に向かう電車に乗るのでしょうか。
今夜は花火大会があるようでした。
少し恥ずかしそうに手を繋いでいる30代後半の男女、ためらいがちな手と手に、恋心が見えるかのようです。
どちらも浴衣を着ることに慣れていないようでした。

だから恥ずかしそうにしていたのか、手を繋ぐことに慣れていなかったのかわからないのですが、人が一生のうちに浴衣を着て、異性と手を繋いで歩くドラマは一人につき、いくつくらいあるだろう?と思いながら、ふたりを眺めていました。

あのふたりにとって浴衣での手繋ぎは、あれが最初かもしれないし、もしかしたら最後かもしれません。

Festival date

先日、懐かしい映画のテーマ曲をふと、耳にしたのは、冷たいものを飲みたくて入った銀座のカフェでした。
それは、数ある恋愛映画のなかで、大人の女性の恋愛のモデルとして私が人にお薦めしている映画です。
主人公は少年なのですが、その少年が恋をした、ひとりの大人の女性との体験を映画化したものです。
作曲は巨匠ミッシェル・ルグランです。
懐かしく美しいピアノのメロディは、聴いたことがあるかたが多い有名な名曲です。

映画の冒頭で、主人公の一人語りがはじまります。
過去に思いを馳せて、懐かしく語りながら追憶が始まります。波の音とともに。

その映画のタイトルは「おもいでの夏」(1971年アメリカ映画。原題はThe Summer of ’42) 。

ひと夏の恋愛のストーリーなのですが、よく考えてみると 「おもいでの春 」「おもいでの冬」このような表現を聞いたことがあまりありません。
やはり、地球上では夏だからこそドラマやハプニングが生まれるのでしょうか?

夏の恋人同士が手を繋いで、人混みを歩いている場面が目につくように、夏は人を行動的にさせるからかもしれません。
地球上では暑い土地のほうが人口も多いので暑さは、繁栄するためには生物学的にも必要な要素のようです。

さて、この記事を読んでくださっているあなたが何歳なのかはわからないのですが

「恋は、遠い日の花火ではない」

この言葉から、どのようなイメージをしますか?
このフレーズは過去に、ウィスキーのCMに使われていましたから、記憶しているかたもいらっしゃるかもしれません。

解釈はさまざまです。

昔見た花火を思い出そうとしても、ぼんやりとしか思い出せないけれど、恋というものをしばらく忘れていても、やり方を思い出すことが必要がないくらいいきなり花火のように鮮明に、花火の音に打たれるように、恋心は始まる。
私はこんなふうに感じます。

仕事で恋愛のカウンセリングをする機会があります。
恋愛に苦しむ女性は、恋愛が苦しいのではなく別離が苦しみなのだと感じます。

離れる(別れる)ことに苦しみ、離れる(別れる)ことができずに苦しみながら離れたい(別れたい)、離れたくない(別れたくない)、と苦しみます。
一般的には、アドバイスを求められたら、しばらく距離を置くこと(ひとりで過ごす準備や練習)をお勧めしています。
なぜかと言うと、苦しんでいることがその恋愛が幸福につながりにくいパターンであることを証明しているからです。
肌トラブルを起こす化粧品は、使用を一時的にやめることをお勧めするのと同じです。

もし仮にひとりになりたくないとしたら、かなり執着しているので、アドバイスをしても離れません。
離れないことでふたりの絆の強さを証明するかのごとくです。
絆が強くても、苦しむとしたらそれは不幸です。
ですが、反対されてでも私は彼と離れたくない!と余計に執着をする時は、花火が連発で勢よく放たれている時です。
それはとても、印象的でドラマチックなのです。そんな激しいときめきを感じている最中はまさにドラマの真っただ中です。

こんな風に辛い恋愛に苦しみ、別離を決めた女性は「もう恋愛はこりごり」と一瞬は思うのですが、人はみんなまた夏がやってくると遠くに花火の音を耳にするのです。

「その恋愛で得たものが何なのかは、あとになるほどわかることがありますよ。その恋を懐かしく感じるときに苦しみも薄らいでいきます。そして季節がいくつか巡りある日、花火のようにまた恋がはじまることがあります。」

もう恋愛はしたくない、できないと思う。落ち込んでそうおっしゃる女性には、こんな風にお伝えをしています。

恋は、遠い日の花火ではありません。
また季節が巡ると、人を恋しく思う時がいつかやってきます。それが一年後なのか、十年後なのか誰にもわからないのですが…

そして恋愛は、空に花火を見た時のようにはじまります。
暗い空に輝き、鮮やかに心に衝撃をもたらすものが、恋心です。

花火の色や大きさは恋愛ごとに異なり、形もそれぞれ。
二度と同じ花火を見ることができないように、同じく恋心の一瞬、一瞬の場面は二度と再現することのできない光を放ちます。

恋心の始まりがいつかは、カレンダーをめくるようにはっきりと区別があるわけではありません。
ですが、恋をすると何かが違って見えはじめます。
いつもと同じ場所や物が、いつもと違ってキラキラと輝いて見えるのです。

そんな人に、見ている側もキラキラを感じます。今日見かけた浴衣のカップルも、戸惑ってる姿が輝いていました。

Cluster of colorful fireworks against dark sky

あなたの住む土地でもこの夏の季節、花火大会が開催されることと思います。

今、恋をしている人もしばらくお休みしている人も、かつてドラマチックな恋をしたことがある人も、花火を見たら「恋心」を思い出してみてください。
夏の花火大会は、恋心を思い出させるために夏の暑い季節に催されるのかも。

また、定番として花火とともに夏は海もドラマの舞台です。
海と言えば波。先ほどの「おもいでの夏」という映画にも波のシーンや音が使われています。

子ども時代、そして若いころに海で遊んだ夏を覚えている人も多いでしょう。
もし、遠い日の自分を思い出してみたくなったかたは、花火の音や波の音を聴いてみてください。
懐かしさが込み上げてきます。
懐かしさを感じている最中、脳はその時代を再体験しています。
波の音、花火大会、どちらも幼さや恋愛のときめきを懐かしく蘇えらせてくれます。

今日見かけた浴衣で手繋ぎカップルにとって、あのデートはいつか、懐かしいストーリーとなるでしょう。

今年あるいはこれから先、あなたにとっても懐かしく感じられる夏のストーリーが生まれるかもしれません。恋心とともに。