自然の心地よさを味方に。
日本の伝統に学ぶ夏のしのぎ方3選

これから残暑の厳しい季節です。
夏の疲れもたまるころですので、工夫して暑さをしのいで夏バテ・秋バテを防ぎたいですね。
日本の伝統的な夏のしのぎ方を見直してみてはいかがでしょうか。


1.チリンと涼を呼ぶ、風鈴

エアコンも扇風機もない時代、縁側で夕方の心地よい風に当たって1日の疲れを癒やしたのが「夕涼み」です。
風を利用して涼しさを感じるアイテムといえば、うちわや扇子。
そしてちょっと変わったアイテムに、風鈴があります。
風でチリンチリンという音が鳴る風鈴。その音に涼やかさを感じるというのは、感性豊かな日本人ならではかもしれませんね。

今も、お土産物などとして売られている風鈴。
ガラス、陶器、鉄など素材によって音が変わるので、好きな音色のものを探して歩くのも楽しいはず。
世界で1つの風鈴が作れる絵付け体験や、夏にはたくさんの風鈴を飾るイベントなども開催されているので、チェックしてみてはいかがでしょう。

暑いからとエアコンに当たりっぱなしでいるのも、意外と夏バテの原因になるもの。
少し暑さがやわらいだ日の夕方には、風鈴を窓辺につるして、風を感じる時間もいいものです。
ただし、風の強い日にはうるさくなってしまうので、風鈴のつるしっぱなしには気をつけてくださいね。

2.金魚は目で感じる、夏の涼


夏祭りの定番、金魚すくい。
江戸時代には、金魚を眺めるのも夏に涼をとる方法として人気があったそうです。
古くは中国で皇帝への贈り物とされ、室町時代に日本に伝わった金魚。
昔はガラスの水槽ではなく、大きな焼き物に水を入れて飼っていたので、金魚は「上見」といって、上から見た時にもっとも美しい形や模様になるように開発されてきた歴史があるのだそうです。
機会があればぜひ、上から金魚を眺めてみてください。

子どもの浴衣の柄、水の中を泳ぐ金魚をかたどった和菓子など、夏には目にすることも多い金魚のモチーフ。
揺れる水面に、青々とした水草。
すいすいと泳ぐ金魚の姿…金魚は水を連想させるので、涼しげですよね。

水槽を用意して魚を飼うのは大変かもしれませんが、たとえばガラスの花びんにグリーンを生けてみたり、背の低いボウルなどに花を浮かべたり、身近に「水」を飾ってみるのはいかがでしょう。

3.湿気に強くさわやか、いぐさ


湿度の高い日本で、古くから畳やござの原料として愛用されてきた「いぐさ」。実は知られざる力を持っているんです。
そのひとつが、湿度の調整力。
いぐさは中がスポンジ状になっているので、湿気を吸収してくれるのだそう。
いぐさのさらっとした気持ちよさは、気のせいではないのですね。

もうひとつは、さわやかな香りです。
新しい畳の香りが好きという人も多いですよね。
いぐさの青々とした香りには、「フィトンチット」というヒノキやヒバなどにも含まれる癒し効果のある成分が含まれているのです。

最近では畳敷きの和室があるお家は少ないかもしれませんが、夏にはいぐさのマットや枕なども店頭に並んでいます。
涼感アイテムとしてぜひ見つめ直してみませんか。

日本の伝統的な夏のしのぎ方、いかがでしたか?
風や水、植物などを上手に取り入れて暑さをしのいできたのは、自然の豊かな日本だからこそかもしれませんね。
風の音や水のせせらぎには、1/fゆらぎと言われる癒しの効果があることもわかっています。
寝苦しい夜や、夏バテ気味の朝、自然音を取り入れたヒーリングミュージックでさわやかさをプラスするのも手軽な方法。
自然の心地よさを味方にして、残暑を元気にお過ごしください。