~リトミックに学ぶ音楽のチカラ~
Vol.3『スキンシップのきっかけづくり』
リトミック講師:佐藤真衣
本格的に寒くなってきました。
こんなに寒いと、子どもの温もりがいつも以上に心地良いですね。我が家の場合、猫と暖を取り合っています。その温かいぬくもりが、ほっと体を癒してくれますね。
こんな寒い時にリトミックのレッスンで積極的に取り入れるのが、ママとギュー、先生とギューをするお歌です。お母さんや先生のひざに乗って、ゆらゆら揺れたり、ギューっとしてもらったりするのです。その時の、子どもの顔と言ったら、幸せそのもの。うっとりしていて、私までうれしくなります。幸せな気持ちって伝わるんですね。
さて、スキンシップが多い人は幸福度が高いという研究結果があります。幸せホルモンとして有名になった「オキシトシン」は簡単なボディタッチでも分泌されます。親和性ホルモンとも呼ばれるオキシトシンは、幸福感を高め、不安感やストレスを減少させると言われています。
こんな便利な時代になったけれど、その副作用で、スキンシップどころか、触るものと言えば、キーボードかスマホの画面……という、オキシトシン分泌から遠い生活を繰り返しているのが私たちの現実の生活ではないでしょうか? (そんな私もまさに今キーボードを叩いていますが……。)
リトミックでは積極的にスキンシップを取り入れます。
・お母さんと子ども
・先生と子ども
・子どもと子ども
いろんなパターンが考えられますね。
0歳から3歳ぐらいまでは、ぜひとも、お母さんと子どものスキンシップをたくさんたくさん体験して欲しいです。そうすることで、自己肯定感が育ち、人間に対する好奇心や、親密な人間関係を結ぼうとする気持ちが高まると言われています。
保育園の先生方も、働くお母さんに代わってたくさんスキンシップをがんばっています。ひとりの先生が、座って足を伸ばして3人も抱っこしてギューってします。
私もそんな抱っこの次の日は太腿の後ろ側が筋肉痛になります……。
子どもとはいえ、3人も一気に抱っこすると先生も息があがってしまうくらいそれなりにハードなのですが、子どもからは「もういっかい、もういっかい」のリクエストがやみません。ギューってしてもらうことがうれしくて、何度でもして欲しいのですね。
お友だちとのスキンシップの段階になると、それが得意な子、ドキドキしちゃう子、それぞれの個性で行動が変わるのが興味深いです。
まだ言葉が出ない年齢の子どもが、お友だちを押したり、叩いたりする行動が頻発することがあります。この時期は、親御さんも園の先生も目を離せない、しかも瞬時に対応しなくてはいけない大変な時期なのですが、実はその行動は、「お友だちになりたい、お友だちと遊びたい、仲良くしたい」という気持ちがなんとなくモヤモヤしてそのような行動になります。
そんな時は「『いっしょにあそぼう』って言うんだよ」と、大人はお話してお手本を見せてあげられたらOKです。その場ではできなくても、「あぁ、そうやってお友だちと仲良くなるんだ」と、学んでいきます。
さて、リトミックですが、そんな子どもの気持ちも後押しします。ふたり(以上)で1つのことを成し遂げるための、サポートをするのが音楽です。
普段、おままごとが好きな女の子と、電車遊びばかりする男の子が、音楽という共通の認識を持って関わる。うまくいくときもあれば、そうでないときもあります。
なにせ、2人の気持ちが同じ方向を向かないと成立しないから難しいですよね。そのサポートをリトミックの音楽がするのです。
音楽には、強い、優しい、浅い、大きい、小さい、広い、狭い、などなど、たくさんのニュアンスがあります。
子どもが音楽を聴いてそれを感じて、それを思った通りに表現する、そこにスキンシップが関われば、相手への思いやりも求められる。「強く表現したいけど、この強さは〇〇ちゃんにとってはどうなんだろう?」と自然に考えるようになり、考えなくてもできるようになるのです。
リトミックでは、そんな思いやりの気持ちも育てていきます。
親子の話に戻ります。
親子のスキンシップの効果は、子どもが健康になる、子どもが快眠になる……それ以上に、親が健康になる、親が快眠になるという、調査結果があります。
さて、スキンシップが大事とわかっていても、日本人はまだまだシャイで、ちょっとした握手ですら恥じらいが混じってしまったりする人種です。
親子でも、スキンシップが日常に行われていないと、きっかけ探しに苦労しておられるかもしれません。
そんなとき、リトミックが、音楽に気持ちをあずけてゆったりとスキンシップを楽しむきっかけになるのです。
「ぎゅってしたいけど、私が不器用でなかなかできなかったけど、マイ先生のその抱っこの音楽がきっかけで、私たち親子の絆が深まった気がします。ありがとうございます」とお礼を言われたことがありました。
スキンシップが大事とわかっていてもちょっぴり抵抗がある、そんな人たちの背中を押してくれるリトミックの音楽、すごい力だなあと思っています。
3歳よりピアノを始める。大阪芸術大学にて作曲を学ぶ。リトミック研究センターディプロマA取得。保育園幼稚園にてリトミック指導、派遣業務を行なう。ここわ保育園リトミック講師リーダー。ピノキオ幼児舎でのラーニングプログラム講師、及びミュージックフェスタの総合プロデューサーを務める。児童養護施設そらいろ、リトミック講師。都立晴海総合高校、足立新田高校、王子総合高校非常勤講師。保育士を目指す高校生に、リトミックと保育現場について考える授業を行う。ピノキオハウス音楽クラブ講師(学童にて小学生リトミック)。ニューミック音楽教室ピアノ講師(現在、5~82歳の25名の指導にあたる)。リトミックサークルにゅーみっく主宰。ニューミック音楽教室主宰。
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~リトミックに学ぶ音楽のチカラ~Vol.1『心で聴き、感じる』
~リトミックに学ぶ音楽のチカラ~Vol.2『楽しみながら吸収する』
こんなに寒いと、子どもの温もりがいつも以上に心地良いですね。我が家の場合、猫と暖を取り合っています。その温かいぬくもりが、ほっと体を癒してくれますね。
こんな寒い時にリトミックのレッスンで積極的に取り入れるのが、ママとギュー、先生とギューをするお歌です。お母さんや先生のひざに乗って、ゆらゆら揺れたり、ギューっとしてもらったりするのです。その時の、子どもの顔と言ったら、幸せそのもの。うっとりしていて、私までうれしくなります。幸せな気持ちって伝わるんですね。
さて、スキンシップが多い人は幸福度が高いという研究結果があります。幸せホルモンとして有名になった「オキシトシン」は簡単なボディタッチでも分泌されます。親和性ホルモンとも呼ばれるオキシトシンは、幸福感を高め、不安感やストレスを減少させると言われています。
こんな便利な時代になったけれど、その副作用で、スキンシップどころか、触るものと言えば、キーボードかスマホの画面……という、オキシトシン分泌から遠い生活を繰り返しているのが私たちの現実の生活ではないでしょうか? (そんな私もまさに今キーボードを叩いていますが……。)
リトミックでは積極的にスキンシップを取り入れます。
・お母さんと子ども
・先生と子ども
・子どもと子ども
いろんなパターンが考えられますね。
0歳から3歳ぐらいまでは、ぜひとも、お母さんと子どものスキンシップをたくさんたくさん体験して欲しいです。そうすることで、自己肯定感が育ち、人間に対する好奇心や、親密な人間関係を結ぼうとする気持ちが高まると言われています。
保育園の先生方も、働くお母さんに代わってたくさんスキンシップをがんばっています。ひとりの先生が、座って足を伸ばして3人も抱っこしてギューってします。
私もそんな抱っこの次の日は太腿の後ろ側が筋肉痛になります……。
子どもとはいえ、3人も一気に抱っこすると先生も息があがってしまうくらいそれなりにハードなのですが、子どもからは「もういっかい、もういっかい」のリクエストがやみません。ギューってしてもらうことがうれしくて、何度でもして欲しいのですね。
お友だちとのスキンシップの段階になると、それが得意な子、ドキドキしちゃう子、それぞれの個性で行動が変わるのが興味深いです。
まだ言葉が出ない年齢の子どもが、お友だちを押したり、叩いたりする行動が頻発することがあります。この時期は、親御さんも園の先生も目を離せない、しかも瞬時に対応しなくてはいけない大変な時期なのですが、実はその行動は、「お友だちになりたい、お友だちと遊びたい、仲良くしたい」という気持ちがなんとなくモヤモヤしてそのような行動になります。
そんな時は「『いっしょにあそぼう』って言うんだよ」と、大人はお話してお手本を見せてあげられたらOKです。その場ではできなくても、「あぁ、そうやってお友だちと仲良くなるんだ」と、学んでいきます。
さて、リトミックですが、そんな子どもの気持ちも後押しします。ふたり(以上)で1つのことを成し遂げるための、サポートをするのが音楽です。
普段、おままごとが好きな女の子と、電車遊びばかりする男の子が、音楽という共通の認識を持って関わる。うまくいくときもあれば、そうでないときもあります。
なにせ、2人の気持ちが同じ方向を向かないと成立しないから難しいですよね。そのサポートをリトミックの音楽がするのです。
音楽には、強い、優しい、浅い、大きい、小さい、広い、狭い、などなど、たくさんのニュアンスがあります。
子どもが音楽を聴いてそれを感じて、それを思った通りに表現する、そこにスキンシップが関われば、相手への思いやりも求められる。「強く表現したいけど、この強さは〇〇ちゃんにとってはどうなんだろう?」と自然に考えるようになり、考えなくてもできるようになるのです。
リトミックでは、そんな思いやりの気持ちも育てていきます。
親子の話に戻ります。
親子のスキンシップの効果は、子どもが健康になる、子どもが快眠になる……それ以上に、親が健康になる、親が快眠になるという、調査結果があります。
さて、スキンシップが大事とわかっていても、日本人はまだまだシャイで、ちょっとした握手ですら恥じらいが混じってしまったりする人種です。
親子でも、スキンシップが日常に行われていないと、きっかけ探しに苦労しておられるかもしれません。
そんなとき、リトミックが、音楽に気持ちをあずけてゆったりとスキンシップを楽しむきっかけになるのです。
「ぎゅってしたいけど、私が不器用でなかなかできなかったけど、マイ先生のその抱っこの音楽がきっかけで、私たち親子の絆が深まった気がします。ありがとうございます」とお礼を言われたことがありました。
スキンシップが大事とわかっていてもちょっぴり抵抗がある、そんな人たちの背中を押してくれるリトミックの音楽、すごい力だなあと思っています。
Profile
佐藤真衣(さとう・まい)3歳よりピアノを始める。大阪芸術大学にて作曲を学ぶ。リトミック研究センターディプロマA取得。保育園幼稚園にてリトミック指導、派遣業務を行なう。ここわ保育園リトミック講師リーダー。ピノキオ幼児舎でのラーニングプログラム講師、及びミュージックフェスタの総合プロデューサーを務める。児童養護施設そらいろ、リトミック講師。都立晴海総合高校、足立新田高校、王子総合高校非常勤講師。保育士を目指す高校生に、リトミックと保育現場について考える授業を行う。ピノキオハウス音楽クラブ講師(学童にて小学生リトミック)。ニューミック音楽教室ピアノ講師(現在、5~82歳の25名の指導にあたる)。リトミックサークルにゅーみっく主宰。ニューミック音楽教室主宰。
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